2.脳から見た近代西洋史
著者は幾つかの文献を引用し様々な事例を挙げつつ、
中世西欧人の生態について述べています。
それによると中世西欧人は、感情や本能をかなり自由に発散し、
理性や良心でそれを抑えない傾向にあったそうです。
即ち、人類脳による原始的哺乳類脳及び爬虫類脳に対する制御が殆ど行われず、
むしろそれらの赴くままに生きる傾向が強かったそうです。
例えばテーブルマナーひとつとっても、
食卓の中央にある肉などを、ナイフで切り分け、手掴みで口に運び、
テーブルクロスで口を拭い・・・などなど、凄まじい光景でした。
多くの人々はナイフを常に持ち歩き、たびたび決闘を起こすなどしていました。
また、排泄は野原や街路・・・どころか廊下や押入れでも人目を憚ることなく行われていました。
しかし、ルネッサンス以降はこれらが修正されていきます。
16世紀以降とりわけフランスで、封建社会が崩壊し、諸侯や騎士といった領主達が没落し、
絶対王政が成立すると、彼等は国王に直接仕える貴族となり、
宮廷社会が成立しました。
この宮廷社会で貴族たちが互いにうまくやっていく為に、
共通のルールが必要となりました。
それが、礼儀作法という形で結実します
並べられたフォークとナイフを外側から順番に使い、スープを飲むときは音を立てず、
などといった今日に至るテーブルマナーが確立され始めました。
ナイフを持ち歩くことや決闘などは、次第に制限されるようになっていきました。
排泄などの生理現象は、人目のあるところから隔離されるようになっていきました。
宮廷社会で成立した礼儀作法は、市民達からの宮廷社会への憧れと、
国王から市民への強制があいまって、やがて市民の間にも広まっていきました。
礼儀作法は、感情や本能に関わることが、理性や良心によって制御されるように、
即ち、人類脳で原始的哺乳類脳や爬虫類脳を制御するような生き方を、
人々に促すものでした。
かくして、近代に至って西欧人は、中世のときとはうって変わり、
人類脳で原始的哺乳類脳及び爬虫類脳を制御する生き方を身につけていくようになります。
また、学問・法の支配・キリスト教特にカルヴァニズムなども、
人類脳により原始的哺乳類脳及び爬虫類脳を制御する手段ともなりました。
こうして、西欧人が文明化することによって、
近代西洋文明は誕生し勃興しました。
しかしそれは、他の文明に対する破壊の始まりでもありました
(続く)











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